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<<   作成日時 : 2010/10/25 21:29   >>

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フライデーあるいは太平洋の冥界
評価☆☆☆☆ トゥルニエ 河出書房新社

昨日の「黄金探索者」とセットになっていた
池澤夏樹さんの世界文学全集の1冊。
この本は海洋文学の巻だったんですね。
フライデーと言えば、最も有名な従者の1人でして
もちろん、元の作品はデフォーの「ロビンソン・クルーソー」。
文明と自然、孤独と社会など分かりやすい対比のせいで
この本を題材にしたメタ小説を生み続けているんでしょう。
で、この「フライデーあるいは太平洋の冥界」は
最も知的なロビンソンが登場します。

★悩むロビンソン
ネタバレしない程度にあらすじを紹介すると、
太平洋の島に流されたロビンソンは
怠惰に流されそうになりつつも、
人間的な文明的な暮らしを保とうと試み続ける。
しかし、ある日、救ったフライデーが
秩序だったロビンソンの暮らしを破壊し、
ロビンソン自身の考えも変わっていく。
そして、ついに船が2人の島に到着したとき、
ロビンソンは久しぶりに再会した“文明”人に
何かを感じてしまう…
という展開です。
太平洋の冥界」という部分でもわかるように、
原作とは設定が違っています。
時代も百年はずれていますし、
場所も大西洋から太平洋へ。む
そして、ラストは今までにない結末が展開していきまして、
ロビンソン型物語の中でも出色の出来です。

★ロビンソンの日記
最も不思議な味わいは、ロビンソンの日記の部分でしょう。
船内に残された本の字が薄れていき、
その上に島で手に入れたインクで書き綴る。
今まで沈んでいた獣性の深遠から半分引っ張りあげられて、
この書くという神聖な行為を果たしながら
精神の世界に復帰するような心地だった

書くことによって、文明に戻ってくることができた
ロビンソンですが、
この戻ってきた文明世界が
本当の文明世界なのか。
そういう問いが隠されている本なのです。

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