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兵士ピースフル

2008/07/29 22:15
兵士ピースフル
マイケル・モーパーゴ 評価☆☆☆ 評論社

2008年の高校生の課題図書。
海外作家の課題図書は戦争の話が多いなあ、
と思いつつ、モーバーゴという
英国で評価の高い児童文学者の作品だけに、
伏線がきめ細やかでして、
第一次世界大戦の悲劇を紹介しています。

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★3兄弟の運命は
兵士ピースフルネタバレしない程度にあらすじを紹介すると、
第一次世界大戦の混迷が続く1916年6月の夜、
明日の朝に迫ったチャーリーの死に向けて、
三男のトモの回想でつづられています。
貧しい英国の家庭で育った三兄弟は
幼くして事故で父をなくし、
地元の名士、大佐に頼る暮らしを続けています。
障害を持つジョー、頼りがいのあるチャーリー、
そして兄を慕うトモ。
貧しさゆえの苦難に出会いつつ、
チャーリーとトモは第一次世界大戦に
出兵することになります。
塹壕の中での不毛な戦いが続く中、
チャーリーに悲劇が訪れる…という内容です。
主人公ピースフルの名前は、
著者自身が訪れた第一次世界大戦の博物館で見つけた
史実に基づいた名前だとか。
戦争の惨禍はいろいろかかれて来ましたが、
逃亡兵への軍事裁判の異常さが
こういう皮肉なタイトルに効きました。

★反戦小説の流れ?
とはいうものの、ヨーロッパでは正統な流れでしょうか。
表紙の二匹の蝶は第一次世界大戦を描いた名作、
「西部戦線異状なし」を意識したものでしょうし、
ラストに「ソンム」という激戦地を
さりげなく記すテクニックは
「蠅の王」のラストを彷彿とさせました。
英国の人ならもっと分かる伏線があるんでしょうね。

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課題図書 チームふたり

2008/07/22 18:28
チームふたり
吉野万理子、宮尾和孝 評価☆☆☆ 学研

小学5・6年生の課題図書
「チームふたり」です。
夏休みになって、課題図書に
手をつけ始めた小学生も多いと思うんですが、
「チームふたり」は感想文がかきやすそう。
最近の傾向では、
1)科学的な本
2)外国の本
3)共感しやすい本
が課題図書に選ばれますが、
これはみごとに3の本でした。

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★部活+家庭の問題は
チームふたり (学研の新・創作シリーズ)ネタバレしない程度にあらすじを紹介すると、
小学校の卓球部キャプテン大地は、
同級生のハセッチと誠と部活を楽しんでいた。
しかし、小学生最後の大会には、
5年生の純がダブルスのパートナーになった。
素直に納得できない大地だったが、
大地の家庭ではもっと深刻なことが発生。
お父さんが失業する事態になっていた…
という展開です。
単純に卓球のスポーツものとなっていないのが、
課題図書らしいところ。
家庭の大切さ、友情の強さが
きちんと分かるかな、という、
非常に素直な展開で本でしたが、
家庭内の問題は時事問題に近くて、
リアルな展開ですね。

★小学生の部活ですか
時代が違うなあ、と思うのは、
小学生の部活がテーマ、という点。
部活動というのは、
中学生とか高校生のものとか思ってましたが、
最近は、小学生も部活で県大会とか目指すんですね。
この夏休み期間中も
大会に頑張っている小学生がいるんでしょうか?
そういう子ども達には素直に理解できる課題図書でした。

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課題図書 なぜ、めい王星は惑星じゃないの? 

2008/06/16 21:49
なぜ、めい王星は惑星じゃないの?
布施哲治 評価☆☆☆ くもん出版

2008年の読書感想文の課題図書の1冊。
「なぜ、めい王星は惑星じゃないの?」
と優しそうに語りかけていますが、
(冥王星の冥がひらがな、というぐらいですけど)
実は、惑星の定義について、
きっちりと紹介している本でした。
でも、本当にこの内容が
小学校高学年の本なんですか?

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★冥王星は太陽系につながった
なぜ、めい王星は惑星じゃないの?―科学の進歩は宇宙の当たり前をかえていくネタバレしない程度にあらすじを紹介すると、
2006年に突然決まったように見えた、
めい王星が惑星でなくなる決定がされました。
宇宙や太陽系の説明から、
人類の宇宙研究の簡単な歴史、
そして、天王星、海王星、冥王星の発見と続いて、
太陽系外の天体の話に続きました。
太陽系と宇宙の境目にあるのが実はめい王星であり、
惑星の定義、そして
めい王星が含まれることになった準惑星の定義と
じっくり説明してくれます。
この本を読めば、惑星、というのがとってもよく分かります。
実は発見当初からめい王星は発見当初から課題が山積みでした。
まず、軌道が楕円形で、
しかもほかの惑星よりも大きく傾いていたのです。
形もいびつだったし、何よりも大変だったのは、
めい王星より大きな物体が見つかってしまったんです。

★惑星の定義は
なぜこんなことになるのか、というと、
太陽系はちりが固まってできていった、と考えられていて、
ちりの塊は太陽系の外にもあるから。
で、決めたのが惑星の定義。
1)太陽のまわりを回っている
2)質量がじゅうぶん大きいため
  自身の万有引力で強くまとまり、ほぼ球形
3)その軌道の周辺から、ほかの天体をなくしている

の3つを満たすのは水星から海王星まで8つの星しか
ないんですね。
惑星の定義はじつははっきりしていなかったのも不思議ですが、
こういうことを小学生高学年で!!!
という驚きに戻ってしまいます。
展開がしっかりしているので、
感想文は書きやすい本のはずと思うんですが、
レベルが高い本でした。
小学生の皆さん、感想文頑張ってね。

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オリーブの海 12歳の夏の思い出を課題図書に

2006/07/25 20:54
オリーブの海
 感想☆☆☆ ケヴィン・ヘンクス 白水社
 今年の読書感想文コンクールの
 高校生の課題図書がこの「オリーブの海」。
 最近、突然読み始めた課題図書シリーズ?
 の1冊ですが、さすがに高校生になると
 大人が読んでも、まったく違和感ありません。
 若者らしい、みずみずしい外国小説を
 数多く紹介している白水社らしい本です。
 
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 ★12歳の少女の夏は
 オリーブの海ネタバレしない程度に紹介すると、
 主人公はアメリカの女の子、マーサ・ボイル。
 オリーブ・バーストウというクラスメートだけど、
 (タイトルのオリーブは、
 この女の子の名前でしょうね)
 口も利かなかった子が
 交通事故で死んでしまいます。
 12歳の夏休みを
 おばあちゃんのゴッピーの家ですごしますが、
 家族や近くの男の子といろいろあって…
 という展開です。
 一言で言ってしまえば、
 「12歳の少女の一夏の体験」ですが、
 いろいろ事件を取り入れて、盛り上げています。
 
 ★祖母との会話
 12歳の女の子の話がなぜ高校生の課題図書なのか?
 過ぎた年月を振り返るには、あまりに早い気がしますが、
 児童小説としては、1つ1つの章も短めで
 すいすい読めてしまうのではないでしょうか?
 おばあさんのゴッピーとの対話が
 とてもいい感じで、
 祖母と孫のこんな関係もいいなあ、
 としみじみ思いました。
 また、装丁もほのぼのとしつつも、
 ストーリーをうまく取り込んだデザインで、
 楽しませてくれます。
 読み終わってから、装丁を見ると、
 なるほど、って思うつくりですよ。

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イシガメの里 動物好きの男の子用の課題図書かな

2006/07/14 06:42
イシガメの里
 感想☆☆☆☆ 松久保 晃作 小峰書店
 読書感想文課題図書。
 結局、小学校中学年の部、
 つまり3、4年生の課題図書、4冊全部読みました。
 「イシガメの里」は唯一、理系?の本といいましょうか。
 4冊の中では、薄いほうでしかも写真が多め。
 本が苦手な理科好きの男の子を意識したようです。

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 ★身近なカメだけど
 イシガメの里簡単な内容は
 動物カメラマンの著者が故郷の淡路島で、
 子供の頃から身近だったイシガメと出会い、
 1年間かけて、イシガメの暮らしを追いかける、
 という展開です。
 イシガメは国内に広く住んでいるので、
 あまり珍しい感じがしませんでしたが、
 実は「日本だけにいるカメ」だとか。
 世界的には珍しいカメなんですね。
 カミツキガメという危険な外国産カメが
 公園などで見つかって、ニュースになっていますが、
 本当はイシガメのほうが、
 世界的には珍しいのかもしれませんね。

 ★読書感想文には
 半ば義務的に読んだ「イシガメの里」ですが、
 理系向き、ということでちょっと評価が難しいところ。
 小学校中学年向けの課題図書を4冊とも比較すると、
 読みやすさでは、
 ダニエルのふしぎな絵>イシガメの里>ロボママわたしたちの帽子
 でしょう。ページの多さとか、文字の量、
 また、ストーリーのつながりなどを考えると、ここは変わらない気がします。
 逆に、感想文の書きやすさ、つまり、テーマの捕まえやすさ、とか
 子供が感じやすい内容、ということになると、
 ロボママ>イシガメ>帽子>ダニエル
 でしょうか?
 イシガメはカメが身近な子供と、そうではない子供で
 どうも読みやすさが変わりそうです。
 大人の方には、ダニエルをぜひオススメします。

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わたしたちの帽子 不思議な建物でみつかる帽子は 課題図書三度

2006/07/10 07:28
わたしたちの帽子
 感想☆☆☆ 高楼 方子 フレーベル館
 今年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書。
 小学校中学年の部、つまり3、4年生向けです。
 「ダニエルのふしぎな絵
 「ロボママ」(リンク先はどちらも前に書いた紹介です。)
 と読んできましたが、
 一番、文字数が多く、読むのが大変な本かも。
 でも、読んでいくと、意外な感想を持ちました。

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 ★不思議なビルと帽子
 わたしたちの帽子ネタバレしない程度にあらすじを紹介すると、
 春休みに不思議な古ぼけたビルで暮らすことになったサキ。
 いろいろビルを回っていると、不思議なところがあって、
 いろいろな切れで作った帽子をかぶった少女、育と出会います。
 そして、育とビルを回ると、なにか時代が違うような…
 という展開です。
 5年生になる直前の春休み、という設定だから、
 ちょっと長めでむずかしめ、という本なのでしょうか?
 出久根 育さんのほのぼのした絵が
 ぴったりとあっています。

 ★読書感想文は…
 それで感想なんですが、
 実は読書感想文の書きやすさは、
 文字数とか読みにくさと関係ないんじゃないか、
 ということ。
 「わたしたちの帽子」は本当の児童文学、
 という感じで、けっこう書きやすいかもしれません。
 出しているのもフレーベル館だし。
 今度、映画化される「ゲド戦記」のように、
 児童文学のような思想書ではありませんから。
 (ちなみに今の子なら、「ロボママ」はもっと書きやすいはず。)
 ちょっと不思議なところが混じっている話ですが、
 このような話はわりに定番の展開だった気がします。
 一番大変なのはやはり「ダニエルのふしぎな絵」では?
 これは深いですよ、けっこう。
 よく言われる、「大人の絵本」のような気がします。
 読書感想文書きやすさランキング?としては
 ロボママ>わたしたちの帽子>ダニエル
 としてしまってはいいのではないか、と思います。
 
 ★課題図書は…
 と、読んできた課題図書で、小学校中学年の部は
 「イシガメの里」を残すだけ。
 動物カメラマンがイシガメの写真を撮る、
 というような話らしいですが、どうも興味が…。
 どうしようかなあ。
 4冊のうち、3冊まで紹介すると、
 取りこぼしが気になるような感じでして。
 ランキングも中途半端だし、と気になります。

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ロボママ 課題図書の読書感想文におすすめ

2006/07/07 06:38
ロボママ
 感想☆☆☆☆ エミリー スミス  文研出版
 ロボットのママだから、ロボママです。
 青少年読書感想文全国コンクールの
 2006年の小学生中学年の部の課題図書の1冊です。
 先日、紹介した「ダニエルのふしぎな絵」より
 文字数は多く、本当の本になっています。
 日本のドラえもんのようなイメージですが、
 けっこうどたばたのおかしみがいい感じです。

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 ★本当のママは家事が嫌い
 ロボママネタバレしない程度に粗筋を紹介すると、
 主人公ジェイムズのママは、
 頭がよくて会社では活躍するけど、
 家事はからっきしダメ。
 ある日、ママの家事のダメぶりに怒ったジェイムズ
 との口げんかでママが思いついたのがロボママ。
 家事は完璧なロボママだけど、
 ロボットならではの問題点もあって…
 という展開です。
 ママのダメぶりは強烈で、ここも笑えます。
 「母親になるための実技テストなんてものがあるとしたら、
 うちの母さんは合格しないと思う

 と息子のジェイムズに言われていますから。

 ★生身のジェイムズ!
 一方、ロボママもけっこうおかしいです。
 ジェイムズの初対面のあいさつでは、
 「こんにちわ、生身のジェイムズ
 とロボットらしくきます。
 もちろん、ジェイムズは「生身」なんて嫌いなんで、
 やめてもらおうとすると、
 もっとおかしなことに。
 ここはクスッとしてしまいます。
 全体としては、「やっぱり本物のママが…」
 といったよくある結論でもなく、
 ちょっとひねりがあるのが課題図書らしい感じ。
 また、ドラえもんと家族構成が違うことも、
 こういうラストになるのでしょうか。
 でも、読書感想文を書くには、
 「ダニエルのふしぎな絵」よりも
 「ロボママ」のほうがずっと簡単そうでした。

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ダニエルのふしぎな絵 とても楽しい課題図書

2006/07/04 07:27
ダニエルのふしぎな絵
 感想☆☆☆☆☆ ほるぷ出版 バーバラ・マクリントック 福本 友美子訳
 夏休みの宿題といえば、まずは読書感想文です。
 青少年読書感想文全国コンクールという
 仰々しい全国コンクールもありましたね。
 で、2006年の小学生中学年の部の課題図書の1冊が
 この「ダニエルのふしぎな絵」という絵本。
 「小学3、4年生向けなのに絵本なんて」
 と思いましたが、中身はかなりおすすめです。

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 ★子供の才能は…
 ダニエルのふしぎな絵ページ数の少なさのあまり、ネタバレ必至で

 簡単な粗筋を紹介すると、

 主人公は、本当にふしぎな絵を描いてしまう少女ダニエル。
 写真家のお父さんと一緒に出かけても、
 お父さんの写真とはまったく違う絵になってしまいます。
 ところが、ある雪の日に、お父さんが病気で倒れてしまい、
 代わりに出かけたダニエルが出会ったのは、
 ある女性画家でした…
 という展開です。
 絵本ですので、ストーリーだけでは魅力半減ですが、
 この絵がとても丁寧で、いい感じです。
 特に、ダニエルが描いている絵が素敵です。
 犬があんなになったり、
 羽の帽子がこんなになったり…
 この絵が、とっても楽しめます。

 ★感想文的には
 清兵衛と瓢箪・小僧の神様と、絵本として読んでもなかなかいい本ですが、
 感想文を書くとなると、
 やっぱり、子供の能力を育てられるか、とか、
 親子の信頼の大切さとかが
 テーマになってしまうのかしら。
 意外と親向けの話で、
 子どもの読書感想文には難しいかもしれません。
 自分の才能を大切にした子どもの本としては
 志賀直哉の「清兵衛と瓢箪」が
 傑作で、おすすめです。
 こちらは瓢箪が楽しみ、という
 とっても個性的な少年が、
 ある瓢箪を見つけて……
 という話でして、
 小学生でも楽しめるはずです。
 けっこう笑える場面もありますし。

 ★恐るべし課題図書
 オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見えると、なかなか楽しかった課題図書でしたが、
 高校生の課題図書にはなんと、
 サッカーの日本代表監督に決まったオシム監督の本、
 「オシムの言葉:フィールドの向こうに人生が見える
 が入っているではありませんか。
 最近、ベストセラーになっているこの本を
 課題図書にするなんて…。
 すごく先が読める人
 あるいはかなりのサッカー通の人が
 課題図書を選んでいるんでしょうか?
 課題図書、恐るべし、です。

 追記(2006/7/7)
 同じ小学生中学年、つまり3、4年生の
 課題図書「ロボママ
 の感想も書きましたので、こちらもどうぞ。
 感想文は「ロボママ」の方が
 簡単に書けそうでした。

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