冷血  天才カポーティのすごさが分かる

冷血
 感想 ☆☆☆☆☆ トルーマン・カポーティ 佐々田 雅子訳 新潮社
 龍口 直太郎さんの訳で昔から新潮文庫になっている作品ですが、
 昨年、ようやく新訳が出ました。
 旧訳ではなんども挫折しましたが、今回は無事、読了。
 単行本で読めたほか、訳語が身近だったことが勝因でしょうか。
 最近の新訳ブームは本当に助かります。
 あと、フィリップ・シーモア・ホフマンが主演する映画「カポーティ」(感想あります)が
 全米映画批評家協会賞を受賞した、とか 今年には日本でも公開される。
 その映画には「冷血」を執筆中のカポーティが描かれているそうで、
 偶然、先取りできてちょっとうれしい。
 (追記 2006/8/6)
 映画「カポーティ」は9月から公開に決まったよう。
 これは気になりますね。

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 ★カポーティの技
 冷血ティファニーで朝食を」で知られるカポーティですが、
 「遠い声 遠い部屋」「夜の樹」などを読むと、
 村上春樹さんも言っていましたが、
 この繊細な描写力はやっぱり天才です。
 (晩年になるほど、荒れてしまうのが悲しいですけど)
 その天才カポーティがニュージャーナリズムという手法を確立した、
 とも言われる名作がこの「冷血」。
 アメリカ・カンザス州で起きた家族4人殺人事件。
 発生までの経過から、逃走、逮捕、
 そして裁判と死刑まで、一気に読ませます。
 
 (゜O゜)凝った構成
 短いながらも的確な表現で、全体がつながれます。
 そして、被害者、加害者、追跡者の動きが章ごとに
 交互に描写される、凝った構成。
 しかも、事件のその瞬間は、ずっと引き伸ばされる心憎いつくり。
 そして証言の積み重ね方、美しい風景描写など
 その後の犯罪小説に与えた影響がとてもよく分かります。
 やっぱり、カポーティはすごい、と思わされるところです。
 龍口訳ほどウエットな感じがないので、
 淡々とした感じがいっそう伝わってきます。

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