オン・ザ・ライン 評価☆☆☆☆ 朽木祥 小学館 2012年の高校生課題図書です。 「オン・ザ・ライン」とは、テニス用語で ライン上に球が落ちたギリギリセーフの状態。 タイトルと表紙から、高校生のスポーツ小説、 と思ったら大間違い。 文字の大きさや本のつくりからして、 児童文学であることは間違いないんですが、 感想文の書き方の距離感が必要でして、 なかなかの難敵です。 ★テニスにかける活字中毒少年 ネタバレしない程度に、「オン・ザ・ライン」の内容を紹介すると、 高校に入学した日高侃は、 同級生の羽鳥貴之に誘われて、テニス部に入る。 活字中毒とも言えるような本好きということを知られたくない上、 アイドル的な存在の永井小百合へのほのかな思いもあった。 だが、テニスを続けるうちに徐々に打ち込んでいく侃。 しかし、突然の出来事で2人の友人の関係が一転する …という展開です。 スポーツ小説と読めば、 向上→挫折→再挑戦 と言う典型的な流れに 友情とか若者のコンプレックスとかがあります。 若者らしい小説として心理描写とか、 個性的な登場人物(カラス坊って少年がいいですね)とか もなかなかいいんで、 割り切って若者の気持ちを軸にした感想文でもいいんですが、 もう一歩踏み込む努力が必要な気がします。 (だからこそ、課題図書になったのでしょうし) ★引用のレベル高し この小説の難しさは、引用されているものの多さ。 文学だけでなく、絵画や映画までサラッと入っていますが、 これが高校生で分かるのか? 特に第二部の各章のとびらにある絵の引用は大変です。 ざらっとあげてみると、「無伴奏チェロ組曲」 「若い小説家に宛てた手紙」「マルテの手記」 センダック、「秋の瞳」「音楽の稽古」、 「紫陽花双鶏図」、蘇軾……。 このバラバラぶりは見事でして、 こっちの引用を追っていくだけでも楽しめそうです。 ★感想文のポイントは 本筋はシンプルで、アクセントの引用が強烈。 こういう本の感想文を書くポイントは ずばり引用との距離感でしょうね。 実は、本筋と引用があまり密接ではないので、 ほとんどの引用は無視しても、大丈夫なんですが、 ただ、全部無視するのも、ちょっと芸がない感じ。 よく分かっているものが引用されていたら、 その引用を、登場人物か自分の経験に近づけながら 少し感想文に織り交ぜていく という作戦をお勧めします。 ロンドンオリンピックとも絡めて「炎のランナー」なんて 今年らしさが出るかもね。 ★ほかの課題図書は ほかの課題図書の感想と書き方は 「2012年読書感想文コンクール課題図書」 からどうぞ。 『オン・ザ・ライン』のブログを 読んでいただきありがとうございました! 読み終わったら、ポチッとクリックを! ![]() ![]() |
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2012年読書感想文コンクール課題図書 傾向が変わったぞ
2012年読書感想文コンクールの課題図書が発表されました。 いつもの年よりもちょっと遅いかな。 アマゾンでは、課題図書セットなんてものが いきなり準備されていましたし。 3冊ずつ全部買う人っているのかな? 高校生も中学生も 例年通り日本の作品2冊と外国作品1冊でしたね。 ただ高校生にちょっと異変がありまして… こっちの変化の方が大変です。 ...続きを見る |
ハムりんの読書 おすすめの本 感想とあら... 2012/06/24 11:24 |
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ハムりんの読書 おすすめの本 感想とあら... 2012/06/25 18:43 |
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